1998年と2008年でアレルギー性鼻炎の有病率(人口に対する患者数の割合)は、通年性アレルギー性鼻炎は約30%から39%に、スギ花粉症は約16%から27%と、いずれも10年間で約10%増加しています。全人口の3~4割の方はアレルギー性鼻炎であると考えられ、国民病といわれるようになった所以です。
また、全体の患者数が増加でしているだけでなく、発症が低年齢化しています。
通年性アレルギー性鼻炎は0~4歳の有病率は約4%、5~9歳では約22%(スギ花粉症ではそれぞれ約1%、13%)というデータが出ています。
基本的同じ病気です。
アレルギー性鼻炎は通年性アレルギー性鼻炎と季節性アレルギー性鼻炎に分けることができます。
通年性アレルギー性鼻炎とはハウスダスト(ダニ)など季節を問わず存在するものが原因になっているものの総称です。
一方、季節性アレルギー性鼻炎は主に花粉など飛散する季節が決まっているものが原因になっている場合で、花粉症と言っています。
したがって、原因になる物質が異なるだけで、鼻の粘膜で起こるアレルギー反応は同じです。
鼻に関してはくしゃみ、鼻水、鼻づまりはよく知られていると思います。
鼻症状以外に、目のかゆみや涙がでやすいなど目の症状、また、咳やノドのイガイガ感などノドの症状が出る場合もあります。
鼻の症状に関してはくしゃみ、鼻水と鼻づまりとは症状のメカニズムが異なると考えられています。
少し専門的で難しいかもしれませんが、治療にも関係しますので解説しておきます。
くしゃみ、鼻水はヒスタミンという物質(抗ヒスタミン剤のヒスタミンです)が鼻粘膜内の神経に作用し、その神経の反射でくしゃみ、鼻水が起きると考えられています。
一方、ロイコトリエンという物質などは粘膜の浮腫を起こしたり、また炎症細胞を鼻粘膜に集める働きをします。これによって鼻粘膜が腫れて鼻づまりになると考えられます。
まず、鼻の診察をします。鼻粘膜の状態や鼻に溜まっている鼻汁などからアレルギー性鼻炎と診断できる場合もあります。
しかし、すべてのヒトが典型的な所見を揃えているわけではなく、また鼻の診察だけでは何が原因のアレルギーかまではわかりません。
そこで、鼻水の中の好酸球という細胞が存在するか、血液検査などで代表的な原因物質に対してアレルギー反応があるか、等を調べます。これらを総合的に判断して診断を行います。
大きく分けますと、薬を使った治療、免疫療法、手術の3通りですが、ここでは主に薬の治療について説明し、免疫療法と手術に関しては別のところで説明します。
くすりには飲み薬と点鼻薬があります。
最も多く使用されているのは抗アレルギー剤と言われる薬で、ヒスタミンの働きを抑える作用をもつものが多いことです。“症状”のところで述べましたようにくしゃみ、鼻水はヒスタミンによる症状ですから、このような症状には効果が期待できます。
抗ヒスタミン作用のある薬は副作用として眠気が出る可能性があります。
しかし、眠気など副作用の程度は個人差が非常に大きいと言えます。
実際には患者様の症状の強さ、ライフスタイル(自動車の運転、危険を伴う仕事の有無、等)を考慮して薬を選択します。
抗ヒスタミン作用の薬とは別に、ロイコトリエンの働きを抑える薬があります。これは鼻づまりが強いに場合に使用することが多いです。
点鼻薬はステロイド剤とステロイドの入っていない抗アレルギー作用のものの2種類があります。ステロイドと言っても決められた通りに使用すれば通常全身的な影響はありません。ステロイドによってアレルギー性炎症を鎮めることで、くしゃみ、鼻水のみでなく、鼻づまりに効果が期待できます。この薬は鼻の調子が悪い時、鼻づまりのある時に頓用で使用するのではなく、しばらく毎日決められたようにお使い下さい。
ステロイドの入っていない点鼻薬はステロイド剤のような即効性はなく、効果もマイルドです。この薬は長期間使用することによって次第に効果が出てきます。
通年性アレルギー性鼻炎と花粉症で薬の種類が変わることはありません。
ただし、花粉症の場合は花粉が多くなる前から治療を開始する季節前治療(初期治療)という方法があります。
これは原因となっている花粉が本格的に飛び出す少し前から薬を使用するというものです。
多くの薬は使用開始してすぐよりも、少し続けて使用した方が効果が充分に発揮される場合が多いからです。
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