音は外耳道に入るとその一番奥にある鼓膜に当たって、鼓膜を振動させます。鼓膜の振動は中耳にある耳小骨を介して内耳に伝わり、内耳で神経に伝えられ脳に伝達されます。
中耳(腔)は鼓膜の奥にある小さな空洞で、唯一耳管を通して外部と交通しています。耳管は外より空気を取り入れたり、中耳の中の不要なものを外に出したりする極めて重要な働きを持っています。この耳管の働きが悪くなると様々な病気が起こります。特に乳幼児に多く見られます。
一般に外耳や中耳の病気による難聴は治療可能な場合が多いですが、内耳の病気による難聴は治療できない場合が多いと言えます。
外耳道から鼓膜にかけては皮膚で覆われています。この皮膚は鼓膜表面から外耳道の入り口に向かってゆっくり移動しています。この動きによって耳垢などが徐々に耳の入り口近くに出てきます。これを自浄作用と言います。しかし、習慣的に耳掻きを行うと、外耳道の皮膚が炎症を起こしたり、傷付きやすくなると、この自浄作用が失われ、
病気は治りにくくなります。
耳の入口には湿疹がよく出来ます。痒くてつい耳かきをしてしまいます。あるいは、耳垢や分泌物が溜まって痒み、耳のつまった感じを生じ、耳かきをし過ぎると、炎症を起こして赤く腫れてきます。また、傷ができると細菌が感染し、耳だれが出たり、膿がたまっておでき(膿瘍)のようになったりします。
通常痛みが強く、腫れが強くなると外耳道が塞がって耳が詰まった感じが出たり、聞こえが悪くなったりします。
抗生剤を含有するステロイド軟膏などで治療しますが、痛みが強い場合や、耳だれが多く、膿瘍になっている時には抗生剤や消炎鎮痛剤の内服をします。
外耳炎を起こして浸出液などで湿った状態になると、そこに真菌(かびの一種)が合併することがあり、治り難く再発し易い場合があります。このような状態を外耳道真菌症と言います。真菌感染が明らかな場合は上記の軟膏とともに抗真菌剤軟膏を併用します。
細菌による外耳炎でも、外耳道真菌症でも炎症が強い時は、綿棒で処置をするのも痛みがあり、また外耳道が腫れて奥が見にくい場合があります。このような時は体温程度に温めた生理食塩水でよく洗浄して耳漏などを洗い流してから、軽く綿棒で清掃すると、比較的痛みが少ないように思います。
いずれにしても、自分では見えない所ですから、勝手に判断しないで耳鼻科医とよく相談しましょう。
水痘帯状疱疹ウィルス(ヘルペスウイルス)いうウイルスが原因で起こる病気です。水疱瘡(みずぼうそう)の原因となるウイルスが水痘帯状疱疹ウィルスで、子供の頃に水疱瘡(みずぼうそう)になった時にこのウイルスに感染し、その後ウイルスが神経に残ったまま潜伏しています。そして免疫力が低下した時に、顔面神経に潜伏していたウイルスが再び活動を始め、ラムゼイ・ハント症候群が発症します。
ラムゼイ・ハント症候群は顔面神経麻痺の原因として知られています。つまり、額のしわがなくなる、目が閉じない、口に含んだ水や食べ物が口の端からこぼれる、等の症状です。これと同時に外耳道および耳介周囲に帯状疱疹による発疹・水泡が見られ、強い痛み、かゆみを伴います。水泡が破れると中の液が出て、痂皮(かさぶた)のようになってきます。さらに耳鳴り、難聴、めまいなどの内耳の症状が認められることもあり、注意が必要です。
治療は外耳の皮膚症状のみであればヘルペスウイルスの薬のみの治療でいいのですが、顔面神経麻痺や内耳障害がある場合にはステロイドホルモンを併用します。
早期に治療を開始することが大切です。
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